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日本語ジャーナル:日本語を「知る」「教える」

あと5カ月!日本語教育能力検定試験、合格に近づくための勉強のポイント

令和4年度の日本語教育能力検定試験は10月23日(日)に行われます。試験まで5カ月というこの時期から、どのようなポイントをおさえれば合格に近づけるでしょうか。ポイントをつかんで12月には合格通知を手にしてください。

過去問は早めに解いてみよう

日本語教育能力検定試験を受験予定の皆さんは、そろそろ「一通りの出題範囲の内容は掴んできた」と言えるころでしょうか。まだまだ過去問に取り組むのは早い、8月ごろからかな……と考えている方も多いかもしれませんが、一度早めに過去問に触れてみることをおすすめします。この段階ではスラスラと解けなくて構いません。「今まで勉強した知識で実際に問題が解けるのか」「思っていたより自分が苦手な分野はどのあたりか」「解くスピードは今の時点でどのぐらいかかるか」など、試験に向けて得られる情報は多いと思います。

例えば名前と意味を覚えていたつもりの用語でも、文章の中に出てきていたり、選択肢の中で他の用語と並んでいたりしたときに、意味や違いが自分の中であやふやだということに気が付くかもしれません。得意だと思っていた分野の点数が思うように取れないかもしれません。現在地を知ることで、これから重点的にやるべきこと、今一度知識を補強したり関連付けて覚えたりしなければならないことなどが見えてくるかと思います。

聴解試験対策は8月までに、記述式問題対策は着々と

試験Ⅱは音声で出題されますが、これを苦手とする方は多いようです。しかし、ぜひ早めに対策を始めて、8月中にはある程度点数を取れるようになっておくことをおすすめします。

「無声歯茎硬口蓋破擦音」など漢字の羅列された言葉や、人の顔を縦に割った「口腔断面図」などを見て怖気づいてしまう気持ちはよくわかるのですが、一つ一つ読み解いていくと、そこまで難しいことではありません。

例えば「無声歯茎硬口蓋破擦音」は「無声」「歯茎硬口蓋」「破擦音」の3つに分けられて、それぞれ簡単に言えば、発音するとき「声帯が震えるかどうか」「口の中のどこで音を作るのか」「どのように息を流すのか」を表しています。このように聴解試験に関する用語は、表すことの意味がわかれば納得できるようなものが多いです。

また多くの受験者から以下のような声も聞きます。

「試験Ⅰや試験Ⅲは範囲が広くて実際の試験でどこから出るのかわからず、たまに、かなり難しいと感じる問題も出るのでどこまで深く勉強すればいいか掴みづらい。でも試験Ⅱは出題される形式が予めわかっていて、勉強すればするだけ確実に点が取れるので、コスパのいい問題だと感じた」

このような理由から、試験Ⅱは8月中にはある程度仕上げ、試験までの間、繰り返し問題を解くことで確実に点を取ることができます。

記述式問題の対策ですが、これはすぐに対策が終わるものではないようです。記述式問題を解答するのに必要なのは大きく「言語にかかわる事象」「日本語教育の実践の方法・内容」に関する知識と「日本語を使って文章を論理的に組み立て伝える力」になります。

知識は試験までに着々と積み上げていくものですし、日本語教育関連の情報収集を常にしていくことも必要です。「文章を論理的に組み立て伝える力」もいわゆる読書感想文のような「作文」を書く力とは違うので、訓練して来た人を除いては、すぐに身に付くものではなく、練習が必要でしょう。まずは論理的に書くということはどういうことかを知り、日々、ちょっとしたことでも頭の中で「論理的に説明する」練習をしておくことが対策になるようです。

これも過去問と同じく、まずは一度、問題の解答を400字程度で書いてみることをおすすめします。

わからなくても「何を調べればいいか」は掴んでおく

勉強を進めていくと、よくわからない専門用語に引っかかってしまうことがあるでしょう。そんなときに、ある程度用語を網羅している「用語集」をそばに置いておくと役立ちます。分野ごとに用語を解説している用語集であれば、目的の用語の近くにそれに関連した用語もあるので、周辺の知識もまとめて確認することができます。

用語集でなくても、「この分野のことがわからなければ、この本で調べられる」というものを持っておくと、これからの勉強が効率的にできるでしょう。

あと試験まで5カ月ほどあるタイミング。自分が勉強に集中できる時間帯はいつなのか、集中できる場所はどこなのか。どんなスタイルの勉強法だと知識が身に付きやすいのか。本格的な追い込みに入る前に、一度じっくり考える時間を取るのもいいかもしれません。梅雨や暑い夏にもモチベーションを下げずに合格に近づいていけるよう、応援しています!