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日本語ジャーナル:日本語を「知る」「教える」

日本語教師の国家資格化法案、いよいよ国会へ

登録日本語教員、認定日本語教育機関、日本語教員試験……これまで耳にしたことがなかった新しい言葉とともに、日本語教師の国家資格化に関する法案が2023年2月21日に閣議決定され、国会に提出されました。国会での審議、可決を待つばかりとなったこの法案について、改めてポイントを確認しておきます。

第211回通常国会(令和5年1月23日召集)の閣法(内閣提出法案)の第22号に「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律案(以下、法案)」があります。

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g21109022.htm

法律用語は正直若干わかりにくく、回りくどいところもあるので、分かりやすくポイントのみピックアップしておきます。

法案の構成

目次は以下の通り、四つの章と附則で構成されています。

 

第一章 総則(第一条)

第二章 日本語教育機関の認定(第二条-第十六条)

第三章 認定日本語教育機関の教員の資格

  第一節 登録日本語教員(第十七条-第二十一条)

  第二節 日本語教員試験(第二十二条-第二十六条)

  第三節 実践研修(第二十七条)

  第四節 指定試験機関(第二十八条-第四十四条)

  第五節 登録実践研修機関(第四十五条-第六十条)

  第六節 登録日本語教員養成機関(第六十一条-第六十六条)

第四章 罰則(第六十七条-第七十四条)

附則

 

第一章 総則

総則では、この法律の目的が示されています。

 

・一定の要件を持つ日本語教育機関を認定する。

・認定日本語教育機関で教える日本語教師の資格を定める。

・それによって、日本語教育を適正かつ確実に実施する。日本に住む外国人が日常・社会生活を円滑に営める環境整備に寄与する。

第二章 日本語教育機関の認定

日本語教育機関の認定、情報公開、教員の資格、認定取り消しなどについては、以下のように定められています。

 

・日本語教育機関の認定は文部科学大臣が行う。

・文部科学大臣は認定日本語教育機関を公表する。

・認定日本語教育機関は、日本語教育課程の授業科目及びその内容、生徒、教員及び職員の数、授業料その他の当該認定日本語教育機関における学習の環境に関する基本的な情報として文部科学省令で定める事項を、インターネットの利用その他の方法により、日本語で公表しなければならない。また複数の外国語で公表するように努めなければならない。

・認定日本語教育機関でないものは認定日本語教育機関という名称は使えない。

・認定日本語教育機関は、生徒の募集のための広告などに、文部科学大臣の定める表示を付けることができる。

・認定日本語教育機関において日本語教育課程を担当する教員は、登録日本語教員でなければならない。

・認定日本語教育機関は、認定日本語教育機関における日本語教育の実施状況について、文部科学省令で定めるところにより、自ら点検及び評価を行い、その結果をインターネットの利用その他の方法により、日本語で公表しなければならない。

・認定日本語教育機関は、認定日本語教育機関における日本語教育の実施状況について、文部科学省令で定めるところにより、毎年度、文部科学大臣に報告しなければならない。

・文部科学大臣は、認定日本語教育機関の設置者が、偽りその他不正な手段により認定を受けたときなどは、その認定を取り消すものとする。

第三章 認定日本語教育機関の教員の資格

登録日本語教員、日本語教員試験、実践研修などについては、以下のように定められています。

 

第一節 登録日本語教員

・日本語教員試験に合格し、かつ、実践研修を修了した者は、文部科学大臣の登録を受けることができる。

・文部科学大臣は、登録を受けた者に登録証を交付する。

・文部科学大臣は、登録日本語教員が偽りその他不正な手段により登録を受けたときなどは、その登録を取り消すものとする。

 

第二節 日本語教員試験

・日本語教員試験においては、基礎試験及び応用試験を行うものとし、基礎試験では日本語教育を行うために必要な基礎的な知識及び技能を有するかどうか、応用試験にでは日本語教育を行うために必要な知識及び技能のうち応用に関するものを有するかどうか判定するものとする。

・日本語教員試験は、毎年一回以上、文部科学大臣が行う。

・次の各号に掲げる者に対しては、その申請により、当該各号に定める試験を免除する。

文部科学大臣の登録を受けた養成課程を修了した者又は基礎試験に合格した者と同等以上の知識及び技能を有することを示す資格として文部科学省令で定めるものを有する者(基礎試験)

応用試験に合格した者と同等以上の知識及び技能を有することを示す資格として文部科学省令で定めるものを有する者(応用試験)

 

第三節 実践研修

・実践研修は、認定日本語教育機関において日本語教育を行うために必要な実践的な技術を習得することを目的として、文部科学省令で定める科目について、文部科学大臣が行う。

(第四節、第五節、第六節及び第4章は省略)

附則

・この法律は、令和六年四月一日から施行する。

・令和十一年三月三十一日までの間の登録日本語教員の扱いについて(経過措置)

 

以上です。第211回通常国会の会期は150日ですので、6月までには成立を目指すことになります。日本語教育関係者は、どうぞこの歴史的な瞬間を見逃さないようにしてください。

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