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日本語ジャーナル:日本語を「知る」「教える」

日本語教師のための 今さら聞けない流行語2022

「先生、質問があります」……日本語教師にとってはドキッとする言葉ですよね。ネット、学校、バイト先……学習者はいろいろなところでいろいろな日本語を拾ってきますが、質問されても「なにそれ?」な言葉もたくさんあります。この記事では、「よく見るけど使い方がわからない」「今さら同僚の先生にも聞けない」流行語について、皆さんと考えてみたいと思います。今回は「草」についてです。

♯1 ネットに発生する「大草原」

文字で笑いを表現するとき、(笑)やwを使いますが、最近特に「草」をよく見かけます。「(笑)やwwwはわかるけど、なんで草??」と思った方も多いのではないでしょうか。


★草の起源
「草」の歴史は意外と古く、以前はニコニコ動画の弾幕(コメント)や2ちゃんねるなどのネットコミュニティーのネットスラングとしてよく使われていました。
(笑)が warau →w と変化し、wがたくさんならんでいる様子が草が生えているように見えることが始まりとされています。


★草の使い方
草は「~て」「~は」「~の」などに続けたり、「草生えた」を後ろに付け、「笑える」「ウケる」の意味で使われます。また、草は(笑)やwと違い、文字だけでなく口頭でも使えるという特徴があります。


例1:「ノブの女装似合わないの草」


例2:A「部長、急に日焼けし過ぎてて草」

   B「LDHにあこがれてて草」


例3:「あの動画面白すぎて草生えた」


さらに応用編として、大笑いや大爆笑のことを「大草原」、逆に笑えないことを「草も生えない」などと表現します。


★草は面白いときでなくても生える?
また、草は面白いときだけでなく、怒りや皮肉を表すときにも使われています。これは、「笑える」「ウケる」などと同じです。


例4:「あの人、くだらないことでマウント取ってくるの、マジで草」


★使い方の注意
草はもともとネットスラングとして、限られたコニュニティーで使われていた言葉ですが、ネットがあまりにも身近になった昨今、誰でも使える言葉になった例だと思います。

使い勝手がよくて、ウィットに富んだ面白い表現ですが、上記の用例のように悪い意味でとらえられると、言われた相手はバカにされた・煽られたと思ってしまうことがあるので、使う場面や使う人によっては十分注意が必要です。

草はすでにかなり定着していますが、いざ例文を考えてみるとかなりの文章構成能力が求められる言葉だということに気づかされました。それにしても、笑いが「草」になってしまう感覚、また、それを面白がるという感覚は日本語独特なのかもしれません。もし、他の国の言葉でも同じようなものがあるという方、ぜひ教えてください! ともかく、おばさんにはついていけなくて草。

次回→日本語教師のための 今さら聞けない流行語2022 -バブみとオッパみ-

https://nj.alc-nihongo.jp/entry/20220731-ryukogo

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