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日本語ジャーナル:日本語を「知る」「教える」

日本語教師になりたい! 最初の一歩を踏み出そう

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外国人に日本語を教える仕事って、おもしろそうだし、やりがいもありそう。そう思ったことはありませんか。日本語教師の資格ってどうやって取るの?お金や時間はどれぐらいかかる?資格を取ったら、どこで教えることができるの?これから日本語教師への道を目指すかもしれない皆様を、その入り口にご案内いたします!

日本語教師って、どんな仕事?

日本語教師とは、日本語を母語としない人に「外国語としての日本語」を教える仕事です。 以前に比べれば、日本語教師という職業が注目される場面も増えてきましたが、それでもまだ一般にはあまりよく知られていないようです。「英語ができないと、日本語教師にはなれないんでしょう?」「日本語の先生?国語の先生と何が違うの?」こんな質問をされることも少なくありません。しかし、国際化がますます進み、様々な理由、目的で来日し、日本で生活する外国人が増え続ける現在、知識と経験を備えた日本語教師は今後さらに必要とされる専門職です。

2000年代に入ってからの20年ほどで、日本を訪れる外国人、日本で生活する外国人は増え続けてきました。それに伴って、「日本語教師」が活躍する場所や形態も大きく変化しています。

 

・大学、専門学校、日本語学校で留学生に教える

・日本企業で働く外国籍の社員に日本語のレッスンをする

・オンラインで海外に住む人に教える

・地域の日本語教室に集まる外国人住民の日本語サポートをする

 

など一言で日本語教師と言っても、様々なスタイルがあります。オンラインレッスンの需要が増えてきたことで、自宅にいながら働くこともできるようになってきました。あまり外国人住民が多くない地域にお住まいの方や、小さなお子さんがいてフルタイムで働くことができない方もオンラインで活躍しています。

日本語教師はこんな人に向いている

「日本語教師は専門職」と聞くと、「自分に務まるだろうか」と不安に思われるかもしれません。でも、どんなベテランの先生も初めはゼロからスタートしたはずです。日本語教師に限らず、教師は人と接し、コミュニケーションすることが大切です。「おもしろそう」「外国の人をサポートしたい」と感じ、興味を持った方はすでに日本語教師として大切な資質をひとつ備えているのではないでしょうか。

こんな方が日本語教師に向いていると言えます。

 

・国際交流がしたい方

・今までの経験を生かして、人の役に立つ仕事がしたい方

・外国語の学習経験がある方・語学に興味がある方

 

日本語教師はあらゆる経験が役に立つと言われます。今までまったく関係のない仕事をしていたからと言って、心配する必要はありません。逆にその仕事での経験が日本語を教える場面で活かされる可能性もあります。好奇心旺盛で、常に学び続ける気持ちがあることも重要です。日本語のレッスンは国内では通常、日本語で行うので必ずしも英語や他の外国語を使える必要はありませんが、外国語と真剣に向き合ったことがあれば、日本語学習者の気持ちにごく自然に寄り添うことができるはずです。

日本語教師のなり方って?

では、実際に日本語教師になって働くためにはどうすればいいのでしょうか。日本語教師になるために必要な国家資格はありません。日本語教師の国家資格化*1という動きがありますが、実現するにはもう少し時間がかかりそうです。現在、法務省告示の日本語教育機関*2で日本語教師として働くためには以下の基準のいずれかを満たすことが必要とされています。

 

1)文化庁が認定した日本語教師養成講座などで420時間以上の教育を受ける

2)大学・大学院で日本語教育について学び、必要な単位を取る

3)日本語教育能力検定試験に合格する

 

このうちのひとつを満たせば、晴れて多くの日本語学校の教員募集に応募する条件をクリアできます。とはいうものの「どの方法が自分に向いているかわからない」「今フルタイムで働いていて、時間が取れない」「できるだけ早く日本語教師になりたい」「高い授業料を払う余裕がない」など、どの道を選んだらいいのか迷ってしまうところです。それぞれについて、少し詳しく見てみましょう。

日本語教師養成講座(420時間以上)

日本語教師のなり方について調べると、必ず「420時間」という言葉を目にするはずです。日本各地にある日本語学校などでは「日本語教師養成講座」を併設しています。養成講座を受講するメリットはやはり、経験豊富な日本語教師の先生たちの講義を直接受けられること、日本語学校内の授業を見学したり、外国人の学生を相手に教育実習をしたりするチャンスがあることです。実際に日本語学校で学ぶ学生や日本語を教える先生方の姿を目にすることで、自分が目指す日本語教師のイメージも膨らんでくるでしょう。ただし、告示校で働くためには養成講座修了に加えて、4年制大学卒業であることが必須となります。この条件を満たしていない場合は、同時に日本語教育能力検定試験に合格することも考えておく必要があるでしょう。

日本語教師養成講座の受講期間や受講料は学校によって様々です。まずは通いやすそうな学校をいくつか探して、比較してみましょう。文化庁認定の養成講座であるかどうかを確認しておくことも肝心です。

大学・大学院で学ぶ

大学または大学院で日本語教育に関する科目を履修し、必要な単位を修得します。いずれ国内外の大学で教えたい、研究の道に進みたいという人はやはり大学、大学院で学ぶのがいいでしょう。日本語教育界で著名な先生方の講義を受けたり、ゼミで学んだりすることができるのも大きな魅力です。

特に大学院入試を突破するには、研究テーマを持っている必要があることと、多くの期間と授業料がかかるため、何年か国内外の日本語教育機関で教えた後、キャリアアップのために大学院に進む人が多いようです。

日本語教育能力検定試験に合格する

毎日学校に通う時間がない、別の仕事を続けながら日本語教師の資格を取りたいという人には毎年10月に実施される日本語教育能力検定試験*3に合格するという道があります。様々な試験対策本や問題集がありますので、独学で勉強することも可能です。また、この試験に合格すれば、4年制大学卒業であることは求められません。大学や養成講座に比べて費用が抑えられるというメリットもあります。

ただ、この試験の出題範囲は相当広く、合格率は毎年25‐30%とかなりの難関です。日本語の語彙や文法の知識のみならず、教授法、音声、日本語教育史など広く日本語教育に関する知識があるかどうかを問われます。ゼロからのスタートであれば、一年前から計画的にしっかりと勉強していく必要があるでしょう。自分で計画を立てて勉強を進めることが苦手な人は通信教育講座などを利用することを考えてもいいかもしれません。

本や動画などで勉強した場合、日本語教育に関する知識は身に付きますが、実際に「教える」ということは体験してみないとわからないものです。採用された学校で実習の機会があるとは限りません。日本語学校で「実習コース」を受講したり、地域の日本語教室でボランティアをしてみたり、学習者と実際に接する機会を作るとよいでしょう。

最初の一歩を踏み出そう

日本語学校に入学許可をもらっていながら、長い間自国で待機を余儀なくされていた学生たちもようやく春から少しずつ来日することができそうです。日本語教師に興味を持ちながらなかなか動き出せなかった皆さんも、希望を持って日本にやって来る学生たちと共に最初の一歩を踏み出してみませんか。新しい世界が皆さんを待っているかもしれません。

 

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ec.alc.co.jp

*1:https://nj.alc-nihongo.jp/entry/20210404-nihongo-kyouhi-shikaku

*2:日本国内において、『在留資格「留学」が付与される留学生を受け入れることが可能な日本語教育機関

*3:http://www.jees.or.jp/jltct/