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日本語ジャーナル:日本語を「知る」「教える」

日本語教育能力検定試験直前キーワードチェック 教育編

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2021年10月24日(日)の日本語教育能力検定試験まで、残すところわずかとなりました。試験直前に重要分野・頻出項目の中で「抜け・漏れ」がないか、キーワードでチェックしましょう。今回は教育編です。キーワードをつなげて頭の中で文章を作って、自分に説明してみてください。自分に対して頭の中で説明するのですから、あまりきれいにまとまっていなくても大丈夫です。

【教授法の流れ1】

・文法訳読法

・オーラル・メソッド

・オーディオ・リンガル・メソッド

・コミュニカティブ・アプローチ

文法訳読法は辞書を引きながら原文を翻訳するという古典的な方法で、学習者は読解力は身についても会話力が身につかないことから、次第に音声面を重視した直接法が取り入れられるようになった。オーラル(口頭)メソッドはパーマーが提唱し、長沼直兄によって日本語教育に取り入れられた。

オーディオ・リンガル・メソッドはフリーズによって提唱され、パターン・プラクティスやミム・メム練習などの手法が今も日本語教育に大きな影響を与えている。しかし、その後コミュニケーション重視の観点から、ウィルキンズによってコミュニカティブ・アプローチが提唱され、インフォメーションギャップを利用したタスク、ロールプレイなどの手法が幅広く日本語教育にも取り入れられている。

【教授法の流れ2】

・ナチュラル・アプローチ

・サイレント・ウェイ

・CLL

・TPR

・サジェストペディア

ナチュラル・アプローチはテレルが開発した方法で、クラッシェンのモニター・モデルの影響を強く受けている。

その他、特徴のある教授法としては、ガッテーニョが提唱したサイレント・ウェイ、カランが提唱したCLL(コミュニティ・ランゲージ・ラーニング)、アッシャーが提唱したTPR、ロザノフが提唱したサジェストペディアなどがある。

【モニター・モデル】

・クラッシェン

・習得・学習仮説

・自然順序仮設

・モニター仮説

・インプット仮説

・情意フィルター仮説

モニター・モデルはクラッシェンが提唱した第二言語習得に関する5つの仮説のこと。

〇習得・学習仮説:習得と学習は別物とする仮説

〇自然順序仮設:言語の習得には一定の順序があるという仮説

〇モニター仮説:学習した知識は自身をモニターするために使われるという仮説

〇インプット仮説:「i+1」(現状よりやや高いレベルのインプット)により習得が促進されるという仮説

〇情意フィルター仮説:感情が習得の度合いに影響を与えるという仮説

【シラバスとカリキュラム】

・シラバス(構造/機能/技能/場面/話題)

・カリキュラム

シラバスとは「何を教えるか(教授項目)」であり、カリキュラムとはそのシラバスを具体的に「どんな順序で、どのような教材を用いて教えるか」を指す。

シラバスは以下のような種類に分けられる。

構造シラバス:文型(~は~です、~を~ます…)を順番に配列したシラバス

〇機能シラバス:機能(依頼、謝罪…)によって分類したシラバス

〇技能シラバス:四技能について具体的に設定(〇〇を読む、××を読む…)したシラバス

〇場面シラバス:場面(会社、レストラン…)によって分類したシラバス

〇話題シラバス:話題(仕事、週末…)によって分類したシラバス

評価

・絶対評価/相対評価

・診断的評価/形成的評価/総括的評価

・プレースメントテスト/アチーブメントテスト/プロフィシェンシーテスト

妥当性/信頼性/真正性

絶対評価とは評価基準に基づいて個人の実力を評価すること、相対評価とは集団内での位置により評価すること。

診断的評価はコース前、形成的評価はコース中、総括的評価はコースの最後に行われる評価具体的には、診断的評価はプレースメントテスト(クラス分け)、形成的評価や総括的評価はアチーブメント(到達度)テストによって行われることが多い。プロフィシェンシー(熟達度)テストは特定の教科書の理解度を測定するのではなく、その時点で何ができるかを測るテストで、日本語能力試験やACTFL-OPI(Oral Proficiency Interview)などが該当する

テストにおいては、測りたい能力が測れているという妥当性、いつでも同じ結果が出るという信頼性、内容に現実性があるという真正性が大切なポイントになる。

 

いかがでしたでしょうか。これまでよく試験にも出題されてきた内容を中心にキーワードを挙げてみました。もしよく分からないキーワードがあったら、参考書などで確認しておいてください。試験本番まであと少し。体調に気をつけて毎日をお過ごしください。