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日本語ジャーナル:日本語を「知る」「教える」

日本語教育能力検定試験直前キーワードチェック 文法編

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2021年10月24日(日)の日本語教育能力検定試験まで、残すところわずかとなりました。試験直前に重要分野・頻出項目の中で「抜け・漏れ」がないか、キーワードでチェックしましょう。今回は文法編です。キーワードをつなげて頭の中で文章を作って、自分に説明してみてください。自分に対して頭の中で説明するのですから、あまりきれいにまとまっていなくても大丈夫です。

【動詞の特徴】

・動詞

・ウ段

・活用

・グループ

・ナイ形

・音便

動詞は辞書形がウ段で終わり、活用によって3つのグループに分けられる。この見分け方はその動詞を「ナイ形」にしてみる。ナイの前がア段なら1グループ動詞(例:飲まない)、ナイの前がイ段(例:起きない)やエ段(例:食べない)なら2グループ動詞になる。3グループ動詞は「する」と「来る」。1グループ動詞の「テ形」には音便が現れる。音便には、促音便、撥音便、イ音便の3種類がある。

【自動詞と他動詞】

・分類法

・自動詞

・他動詞

・目的語

移動動詞

・自他のペア

動詞にはいくつかの分類法がある。その一つが自動詞と他動詞に分ける方法である。目的語(~を)を取る動詞が他動詞、それ以外は自動詞になる。例えば、「集める」は他動詞、「集まる」は自動詞になる。しかし「(家を)出る」「(橋を)渡る」のような動詞は移動動詞といい、(「家を」「橋を」は目的語ではなく場所を表しているため)自動詞に分類されるので注意が必要。また、全ての動詞に、必ずしも自他のペアがあるわけではなく、対応する自動詞のない他動詞(例:読む)もあれば、対応する他動詞のない自動詞(例:光る)もある。

【受身】

・能動文

・受身文

・直接受身

・迷惑の受身

・持ち主の受身

「母がお茶を飲んだ」のような文を能動文、「お茶が母に飲まれた」のような文を受身文と言う。受身文は3種類に分けられる。上記のように、受身文を能動文にした時、対応する能動文の目的語(この場合は、お茶)が主語になるものを直接受身と言う。また、受身文の主語が能動文にないものを間接受身と言うが、別名、迷惑の受身とも言う(「雨に降られた」「赤ん坊に泣かれた」など)。また、所有物や体の一部が影響を受けるものを持ち主の受身と言う(足を踏まれた」「財布を盗まれた」など)。

【ヴォイス】

・能力可能

・状況可能

・授受表現

・物の授受

・恩恵の授受

動作をどの立場から表現するかによって分ける表現形式をヴォイスと言う。代表的なヴォイスには受身形、使役形、使役受身形、可能形などがある。可能には「中国語が話せる」などの能力可能と、「(天気になれば)洗濯物が干せる」などの状況可能がある。授受表現(やりもらい)もヴォイスの一種で、「あげる」「くれる」「もらう」を単独で使うと「物の授受」、「~てあげる」のように補助動詞で使うと「恩恵の授受」の意味になる。

【言語変化】

・ら抜き言葉

・受身

・可能

・言語変化

・さ入れ言葉

・敬語

2グループ、3グループの動詞から「ら」が抜けたものを「ら抜き言葉」と言う。

2グループ:見られる→見れる(ら抜き言葉)

3グループ:来られる→来れる(ら抜き言葉)

ら抜き言葉に対するスタンスは人によって異なるが、「受身」と「可能」の分化としての言語変化の一種と見る向きもある。

その一方、1グループ動詞の使役形に「さ」が入る「さ入れ言葉」もよく耳にする。

1グループ:読ませていただく→読まさせていただく(さ入れ言葉)

過剰にへりくだった、丁寧な敬語を使おうという意識が背景にあると見る向きもある。

 

いかがでしたでしょうか。今回は、これまでよく試験にも出題されてきた内容を中心にキーワードを挙げてみました。もしよく分からないキーワードがあったら、参考書などで確認しておいてください。試験本番まであと少し。体調に気をつけて毎日をお過ごしください。

 

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