NJ

日本語ジャーナル:日本語を「知る」「教える」

試験にもよく出る「日本人の言語行動」は、読み物としても面白い

f:id:alc_gotcha:20190628164444j:plain

検定試験突破に抜群の実績を誇るNAFL。そのテキストの第4巻「日本人の言語行動」の内容をご紹介します。言語という生き物の「生態」に迫るその内容には、多くの受講生が、単なる試験対策を超えた強い関心を抱いています。(新城 宏治)

第4巻:日本人の言語行動

一般的なNAFLの進め方(1カ月に2冊学習のペース)では2カ月目に勉強することになる巻です。

日本語教育においては、もちろん文法や語彙といった日本語そのものについての知識も大切ですが、同様に日本語の「使い方」も大切です。「言語行動」ではそのような言葉の使い方を幅広く考えます。言葉は生き物であり、時代によって変化します。その生き生きとした生態を捉えることは大変面白く、多くの受講生の方に関心を持って勉強していただいている巻になります。

巻の構成は以下のようになっています。

  • 第1章:言語行動
  • 第2章:言語行動を見つめる
  • 第3章:言語行動の多様性をもたらすもの
  • 第4章:対人関係と言語行動
  • 第5章:言語行動と日本語教育
  • 第6章:言語行動と話し方
  • 第7章:あいさつに見る言語行動
  • 第8章:言語行動と人間関係
  • 第9章:言語行動と世代

第4巻は、日本語教育能力検定試験では、主に「言語と社会」区分の「言語使用と社会」などの主要項目に対応する巻になり、試験1、3で出題されます。

例題を解いてみよう!

以下の文を読んで質問に答えなさい。

日本人の言語行動は、時代の変化に伴い、年齢や世代によって違いが見られる。

こういった社会状況の変化に伴う、日本人の国語意識の現状に関する調査として、文化庁が1995年度から毎年実施しているものに「国語に関する世論調査」がある。この調査結果には、毎年幅広く言葉の使い方についての日本人の意識が反映されており、興味深い。

例えば、時代の変化によって従来とは違う解釈が出てくる言葉がある。例えば、平成27年度の調査で「奇特」の意味を尋ねたところ、全体では本来の意味を選んだ人が多かったが、世代別では開きも見られた。また、「確信犯」の意味を尋ねたところ、本来の意味とは違う意味を答えた人が最も多かった。

このように言葉の解釈が変わる背景には、さまざまな時代的・社会的要因が考えられる。また、ことわざや慣用句の中には、その解釈が時代とともに変化しているものがある。

Q1 「奇特」の本来の意味は何ですか。
奇妙で珍しいこと/優れて他と違って感心なこと

Q2 世代別の開きはどのような傾向がありましたか。
本来の意味を選んだ人は50代以上が多い/本来の意味を選んだ人は40代以下が多い

Q3 「確信犯」の本来の意味は何ですか。
政治的・宗教的等の信念に基づいて正しいと信じてなされる行為・犯罪又はその行為を行う人/悪いことであると分かっていながらなされる行為・犯罪又はその行為を行う人

Q4 「眠りから覚めたときの気分が悪いこと」の本来の言い方はどちらでしょう。
目覚めが悪い/寝覚めが悪い

解答はこちら

皆さん、解けましたか? 間違えたところは辞書などで調べて、改めて確認しておくといいでしょう。

  • A1 優れて他と違って感心なこと 例文:海老沢さんは奇特な人だ。
  • A2 本来の意味を選んだ人は50代以上が多い
  • A3 政治的・宗教的等の信念に基づいて正しいと信じてなされる行為・犯罪又はその行為を行う人 例文:そんなことをするなんて彼は確信犯だ。
  • A4 寝覚めが悪い

試験対策はこうする

日頃から、テレビやネットなどのメディアで使われている言葉、自分の家族や友達、自分自身が使っている言葉に敏感になり、「何か違和感があるな」と思ったら、すぐに調べる癖をつけるといいでしょう。

文化庁の「国語に関する世論調査」は、毎年9月頃に発表になります。また、以下から過去の20年以上の毎年の調査結果も見られますので、ぜひ見てみてください。検定試験に出題される可能性もありますし、なかなか面白い調査結果ですよ。

国語に関する世論調査 | 文化庁

 

ec.alc.co.jp