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日本語ジャーナル:日本語を「知る」「教える」

日本語教育機関認定法が国会で成立 ー「登録日本語教員」の国家資格創設へ

日本語教育関係者が心待ちにしていた「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律」(以下、日本語教育機関認定法)が、2023年5月26日に可決、成立しました。いよいよ、新しい法律の下で、日本語教育機関の認定および「登録日本語教員」の国家資格が創設されることになりました。

日本語教育機関の認定制度の創設

日本語教育機関認定法により、日本語教育機関の設置者は、日本語教育課程を適正かつ確実に実施できる日本語教育機関である旨の文部科学大臣の認定を受けることができるようになります。認定を受けた教育機関を、認定日本語教育機関と呼びます。文部科学大臣は、

・認定日本語教育機関の情報を多言語・インターネット等で公表する。

・生徒募集に当たっては、広告その他に文部科学大臣認定である旨の表示をすることができる。

・必要な場合に日本語教育の実施状況に関し報告を求めること、勧告・是正命令を行うことができる

とされています。

認定日本語教育機関の教員の資格の創設

認定日本語教育機関で日本語教育を行うためには、日本語教員試験に合格し、登録実践研修機関実施する実践研修を修了し、登録日本語教員として文部科学大臣の登録を受けることとされています。

また、この日本語教員試験は、基礎試験(基礎的な知識及び技能を判定)及び応用試験(知識及び技能のうち応用に関するものを判定)とで構成し、指定試験機関(文部科学大臣が指定する機関)が実施するとされています。

さらに、登録日本語教員養成機関(文部科学大臣の登録を受けた日本語教員の養成機関)が実施する養成課程を修了した者は、申請により基礎試験を免除するとしています。

経過措置など、詳細は今後の検討へ

まずは法律が無事成立し、関係者はほっと胸をなでおろしていると思います。ただ、あくまで現段階では基本的なことが決まっただけですので、来年4月からの法律施行のために、今後は急ピッチで準備が進められていくものと思われます。

昨年度、日本語教育機関認定法の内容は「日本語教育の質の維持向上の仕組みに関する有識者会議」で検討されましたが、より詳細な基準については「文化審議会国語分科会日本語教育小委員会」において専門的な議論を実施するとされていました。つまり、「日本語教育の質の維持向上の仕組みに関する有識者会議」で大きな方向性を決定した上で、日本語教育小委員会で詳細を議論するということになっていました。

日本語教育小委員会は今年度になってからまだ開催されていませんが、まずは、この日本語教育小委員会での議論の中身に引き続き注目したいと思います。