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日本語ジャーナル:日本語を「知る」「教える」

教えるための不安やモヤモヤを解消!「日本語を教える」ためのテキスト4冊紹介

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2022年4月から日本語教師として教え始めるという方や、対面の授業に戻る、コマ数が増える、という現役日本語教師の方も多いのでは。そんな方たちにぴったりなのが、アルクの「日本語教師ハンドブックシリーズ」です。『日本語授業の進め方 生中継』『改訂版 書き込み式でよくわかる日本語教育文法講義ノート』『どう教える?「読解・会話・作文・聴解」の授業』の3冊が現在発行されています。日本語教師になる前に感じるさまざまな不安やモヤモヤした気持ちを解消できれば、そして日本語教師になった後も手元に置いて度々開いてもらえればという気持ちを込めた内容となっています。

 

『日本語授業の進め方 生中継』金子史郎著

日本語教師になる前に、実際の授業を見るチャンスは限られています。日本語教師になった後もほかの教師の授業を見学できる機会はあまりないのが実情のようです。この本では、この道25年以上のベテラン教師、金子先生の授業を取材。まるで授業見学をするように、授業の進め方を写真入りで見ることができます。授業では主に初級レベルの文法23項目について取り上げています。

授業の全体像がわかることで、実際に授業をする前にイメージがつかみやすいですし、効果的な板書の仕方や授業での教師の細かい動きなども知ることができます。23の授業のうち、6つの授業については動画でも見られるサービス付きなのもおすすめポイントです。

 

 

『改訂版 書き込み式でよくわかる 日本語教育文法講義ノート』山下暁美編著、沢野美由紀著

「私、今の日本語文法の知識で日本語を教えられるの?」という不安を解消します。

日本語教師として教え始める前に、自分の「日本語文法の知識」を今一度しっかりと確認し、基本事項を総点検、総まとめできる本です。解説を読んだ後、本当に理解できているか実際に書き込みながら確認できるので、日本語文法の知識のあやふやな点を洗い出すことができます。例えば自動詞と他動詞を分けてみたり、「ている」の意味の違いを考えたり、使役から使役受け身、使役受け身から使役に動詞を変形させてみたり。外国語として日本語を学んでいない私たちには「わかっているつもり」になっている文法知識があることに気付くのでは。そして1冊仕上げれば自信を持った状態で教えることができるはずです。

 
『どう教える? 日本語教育「読解・会話・作文・聴解」の授業』望月雅美著

日本語教師養成講座などでは、文法を教えたり、メインテキストを教えたりすることは学びますが、「読解・会話・作文・聴解」のいわゆる技能別授業をどう進めるのかまでしっかり学ぶ余裕はないようです。そしていざ「来週、聴解の授業お願いね」「あさって作文の授業担当して」などと言われたとき、「どう教えればいいんだろう」と困ることが多いようです。

この本では技能別授業の基本的な型を紹介。学習目標の達成を目指し、その型に沿って授業を組み立てていけるように、解説します。実際の授業案もたくさん掲載していて、一つ一つ、「なぜそう組み立てたか」がわかるので、自分で授業を組み立てるときの参考にすることができます。

活動のアイディアもふんだんに紹介していますので、この本を読んだ後は「作文の授業どうしよう…」から「早く次の作文の授業やってみたい!」に変わるはずです。

 
『日本語教師の7つ道具シリーズ+ 教案の作り方編』横溝紳一郎、坂本正著

「日本語教師の7つ道具シリーズ」からも1冊ご紹介します。日本語教師になると日々教案を作って授業して、という毎日になりますが、日本語教師になる前に「教案がしっかり作れる」状態になっているほうが少ないのでは。そもそも教案はなぜ作るのか、どのように作るのか、どのぐらいの時間がかかるのか、そしてどのように使うのか。いったい教案はいつまで作ればいいのか。この本では実は誰でも持っているけれどもなかなか答えが得られない疑問に答え、教案作成の手順を丁寧に解説します。

現役日本語教師20名の実際の教案も紹介していますので、「ほかの人はどんな教案を作っているんだろう」という疑問にも対応しています。教案についてのモヤモヤを解消して教案を作る力をアップさせ、日々の授業に取り組んでいただける1冊です。

 

「日本語教師ハンドブックシリーズ」は3月中にもう1冊『改訂版 日本語の教え方ABC』が仲間に加わる予定ですので、ご期待ください。

今回紹介したテキストはいずれも日本語教師の不安や困った気持ちを解消し、自信を持って授業に臨むためのテキストです。さまざまな授業のアイデアも提供していますので、時間を見つけてぜひ読んでみてください。