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日本語ジャーナル:日本語を「知る」「教える」

オミクロン株と外国人の入国制限状況(2022年1月23日時点)

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日本政府は2021年1月14日以降、特段の事情のある場合を除き、外国人の新規入国を原則停止してきました。その後、新規コロナウイルスの感染が落ち着いたこともあり、同年11月8日に留学生を含めた外国人の新規入国を容認しましたが、同月30日にはオミクロン株対策のため外国人の新規入国を再び停止しました。年が明けて2022年になりオミクロン株による新規コロナウイルスの感染の急拡大を受け、岸田首相は2月末まで水際対策の継続を表明しました。その一方で国費留学生の入国再開の動きも出ています。

これまでの流れの振り返り

留学生を含めた外国人の新規入国政策は、新規コロナウイルスの感染者の増減、特に直近ではオミクロン株による感染拡大影響を受けてきました。

まずは日本における新規コロナウイルスの感染者数の増減を見てみます。政府が外国人の新規入国を再開した2021年11月8日以降の毎週金曜日の国内の感染者数(1日ごとの発表数)です。

 

2021年11月5日:223人

(外国人の新規入国再開)

2021年11月12日:198人

2021年11月19日:155人

2021年11月26日:121人

(外国人の新規入国停止)

2021年12月3日:143人

2021年12月10日:144人

2021年12月17日:182人

2021年12月24日:297人

2021年12月30日:515人

2022年1月7日:6,203人

2022年1月14日:22,040人

2022年1月21日:49,854人

情報:NHKまとめ

 

このように単純に数字を並べてみると、外国人の新規入国再開・停止と、1日あたりの感染者数の増減にはあまり関係がないように見えます。むしろ、外国人の新規入国が行われていた期間は1日あたりの感染者数は低い数値で落ち着いており、新規入国が停止された年末・年始以降に1日あたりの感染者数は急拡大しています。

水際対策は「当面継続」という判断

オミクロン株の拡大に伴う水際対策については、岸田内閣は「当面継続」という判断を続けています。

2021年12月21日の記者会見で岸田首相は以下のように述べ、当面1カ月程度としていた入国制限を、当面の間、延長するとしました。「水際対策ですが、外国人の新規入国停止などの水際対策、11月29日から1カ月をめどにということで対策を講じてきましたが、今現在、オミクロン株の感染力ですとか重症化リスク、こうした科学的な評価、確立しているとは言えないと思っています。こうした状況ですので、年末年始の状況をしっかり見極めた上で、当面の判断をしなければいけない。ですから、年末年始の状況を見極めつつ、当面水際対策、延長することといたしました」

また、2022年1月4日の総理の年頭記者会見では、さらに1月8~10日の連休明けに判断すると述べました。「水際対策については、従来から年末年始の状況を見極めた上で、その先を考えるべきであるということを申し上げてきました。よって、この3連休明けの来週、年末年始の状況をしっかり見極めて判断をしたいと思っています。厳格な水際対策によって国内へのオミクロン株の流入、最小限に抑えてきましたが、御指摘のように大都市圏を中心にこの感染が増加しています。今後はこの市中感染が急拡大するといった最悪の事態の可能性にも備えていくということで、予防、検査、早期治療の流れを一層強化するとともに、オミクロン対策の重点、国内対策へ移す準備を始めたいと思います。これは専門家の方々のアドバイスを受けて、こうした取組を進めていきたいと考えています」

情報:首相官邸ホームページ

結局、1月11日に岸田首相は水際対策を2月末まで継続することを表明しました。しかしながら、その一方で、政府は来日できないことが進級・卒業に影響するような国費留学生については限定的に入国を認めることになりました。

それでは国費留学生というのは、いったいどのぐらいの人数がいるのでしょうか。2020年5月1日現在の留学生数と、留学生全体に占める国費留学生の割合は以下のようになっています。

 

留学生総数:279,597人

うち国費留学生数:8,761人

割合:3.1%

※台湾を除く

 

留学生数全体に占める国費留学生の割合は極めてわずかであり、日本語教育関係者の多くは、一刻も早く私費留学生の入国制限の緩和が進むことを期待しています。

 

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